投資先を理解すること

つみたてNISA(積立NISA)では、投資信託を積立していくことで資産運用ができます。

ですが、投資信託とは、自分がお金を預けて運用してもらう仕組みです。そして、運用先で発生した利益や損失を全て引き受けることになります。

運用先は、預かったお金を株式や債券などに分散投資しています。つまり、投資信託を保有するということは、間接的に株式や債券などにまとめて投資していることに等しいことになります。

自分が積立していく投資信託が、実際は何に投資しているかは、必ず把握していなければなりません。投資信託を持っているというイメージではなく、株式や債券に投資しているんだという感覚を常に持っていなければなりません。

ここでは、投資信託を通じて間接的に投資できる新興国債券について解説していきます。つみたてNISAでは、新興国債券に単独は投資できないので、バランスファンドに組み込まれる形で投資することになります。

 

新興国債券とは?

新興国債券とは、新興国に分類される国の国債などです。

国債とは、政府に対する借用書になっています。新興国の場合、経済的に不安定な国が多く、返済されない可能氏が高めになっています。(デフォルトリスクといいます。)

その分利息は高めになっていることが多いです。

つみたてNISAでは2つの指数があり、それぞれ商品が存在します。国別の割合は次の通りです。

左側のほうは、1国当たりの上限が10%となっています。右側は、上限を定めず債券市場の大きさによって決められています。割合が結構違っていますね。

ですが、最も大きな差は、現地建て通貨で発行されているか、米ドルで発行されているかです。

日本国債の場合、ほとんどが円建てで発行されています。円で貸してもらって、円で返す形です。ですが、新興国の通貨は、インフレ率が高く、あまり信用されていません。ちゃんと返してもらっても、価値が下がっている可能性があるからです。

そのため、現地建て通貨で貸してもらうのではなく、基軸通貨である米ドルで貸してもらうことがあります。米ドルで借りるので、後で米ドルを用意して返してもらいます。

そのため、比較的安心して貸すことができます。もちろん米国がドル建てで発行する米国債に比べて利息は高いですが、その分帰ってこない可能性が高いです。

米国債であれば、アメリカ政府がドルを刷ってしまえば返すことができますが、新興国はドルを発行することができないので、返済できないデフォルトリスクは高まります。

日本国債は円建てなので、日本銀行が円を刷りまくれば返済は簡単ですが、外貨建てで発行している場合はその技が使えないということです。

これだけ聞くと米ドル建てのほうがよさそうですが、米ドル建ては、単純にリスクが高いドルへの投資になってしまいます。

新興国債券に投資するなら、新興国の通貨建てのほうが、新興国成長の恩恵を受けやすいです。

 

新興国債券の特徴

新興国債券は、政治や経済が不安定な新興国が発行しているので、信頼性は低いです。その分高めの利息を要求することになります。

他の資産と比べた特徴について説明していきます。

 

為替リスクが大きい

外国の債券なので、当然為替リスクは大きいです。

ただし、米ドル建ての場合は、単純にドルに対するリスクを背負うだけなので、為替リスク自体はそれなりです。それ以上に、ちゃんと返済されないデフォルトリスクに気を付けなければなりません。

現地通貨建ての場合、ブラジル国債はレアル、メキシコ国債はメキシコペソで貸し借りをすることになります。この場合、自分の資産を複数の通貨に分散することになります。

それぞれ信頼性は高くありませんが、円・ドル・ユーロ以外の通貨にまとめて投資できるのは大きな魅力です。現地建て通貨の場合、インフレ率が高くなるのを見越して非常に高い利息が付くことが多いです。

場合によっては10%を超える利息が付くこともありますが、その分インフレが進んでいるので、円建てで考えれると大して増えていないことが多いです。

新興国通貨はインフレも激しいですが、政府による為替介入もあり、大きく上下する可能性が高いです。何より高いインフレを予想しているなら、インフレに強い新興国株式に投資したほうがいいという結論になってしまいます。

 

変動幅が大きい

新興国通貨は為替変動幅が非常に大きいです。先進国の多くは変動相場制といって、需要と供給によって通貨の値段が決まります。新興国の場合、自国に有利になるように相場を固定している場合があります。

基本的に新興国の多くは、自国の通貨が安くなるようにしたいという思惑があります。自国の通貨が安ければ、輸出に有利になり、経済成長に大きく貢献するからです。

新興国債券に投資していても、なかなか為替差益を得にくいということになります。また、変動相場制であっても、政府による介入が起きたりして、歪な相場になっていることも多いです。

これはすなわち、ハイリスクな投資先になるということになります。

 

インフレに対応できない

債券共通の弱点ですが、債券はあくまで決められた元本や利息を返してもらうだけなので、インフレに弱いです。新興国は慢性的なインフレになっている国が多いので、現地通貨建ての場合は特に大きな損失になる可能性があります。

新興国の場合、ジンバブエのようなハイパーインフレになる可能性も否定できないため、デフォルトしなくても紙屑になってしまう可能性があります。

インフレが高いのであれば、債券より株式のほうが有利です。

 

リターンは低い

日本債券は現在、ほとんど0%に近い利息になっており、マイナス金利になることもあります。

新興国債券の場合、現地建てと米ドル建てで全く違う商品になります。

現地建ての場合、いくら利息が高くてもインフレで打ち消されてしまい、期待できるリターンは日本債券と同じぐらいになってしまいます。

米ドル建ての場合は米国債よりも高い利息になりますが、デフォルトで帰ってこない可能性を考えると、米国債や日本債券と同じくらいのリターンになると予想できます。

利息の差はインフレやデフォルトのリスクが織り込まれているので、最終的には日本債券も米国債も新興国債券も同じようなリターンしか期待することができません。

 

新興国債券まとめ

新興国債券の特徴をまとめると次の通りです。

 

為替リスクがある
→現地通貨建ての場合は特に大きい

変動幅が大きい
→為替リスク・デフォルトリスクが大きい

インフレに対応できない
→新興国はインフレ率が高いのでより危険

リターンは低い
→見かけの利息で判断できない

 

新興国債券自体がデフォルトリスクが高いうえに、現地通貨建ての場合は大きな為替リスクを背負うことになります。利息が高いので高いリターンが得られそうですが、インフレが進むことで打ち消されてしまうことが多いです。

リターンは日本債券と同じぐらいしか期待できないにもかかわらず、大きな為替リスクとインフレリスクを背負うことになります。

新興国債券は、ハイリスクローリターンの資産ともいえるので、当サイトではほぼ不要と考えています。

リスクを抑えたいなら日本債券を増やし、新興国の成長でリターンを得たいなら新興国株式を増やすべきです。新興国債券には投資しないか、ごく一部にとどめるべきです。

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新興国債券インデックス指数