投資先を理解すること

つみたてNISA(積立NISA)では、投資信託を積立していくことで資産運用ができます。

ですが、投資信託とは、自分がお金を預けて運用してもらう仕組みです。そして、運用先で発生した利益や損失を全て引き受けることになります。

運用先は、預かったお金を株式や債券などに分散投資しています。つまり、投資信託を保有するということは、間接的に株式や債券などにまとめて投資していることに等しいことになります。

自分が積立していく投資信託が、実際は何に投資しているかは、必ず把握していなければなりません。投資信託を持っているというイメージではなく、株式や債券に投資しているんだという感覚を常に持っていなければなりません。

ここでは、投資信託を通じて間接的に投資できる先進国債券について解説していきます。つみたてNISAでは、これらに単独は投資できないので、バランスファンドに組み込まれる形で投資することになります。

つみたてNISAでは、全世界債券と先進国債券という区分けがされていますが、実質的にはどちらも同じです。

出典「金融庁」

つみたてNISAで認められている指数です。赤い大枠の中が全世界債券・先進国債券になっています。現在、つみたてNISAではその中のうち「City‐group World Government Index」に関連する投資信託しかありません。

日本語では、「シティグループ世界国債インデックス」になり、世界全体の国債に投資できるものになっています。コチラは日本債券とは違い、社債などは一切含まれず国債のみに連動しています。

ですが、この指数には新興国の国債がほとんど含まれておらず、実質的には先進国債券として分類されることがほとんどです。

つみたてNISAでは、全世界債券という区分はないと考え、日本債券・先進国債券・新興国債券はそれぞれ独立していると考えてください。

なぜ金融庁がこの指数を全世界債券として分類しているかは不明ですが、実態に合わせてここでは先進国債券として紹介していきます。

 

先進国債券とは?

先進国債券とは、先進国に分類されるアメリカ・ヨーロッパ地域などの債券のことです。

つみたてNISAでは、現在「シティグループ世界国債インデックス(日本除く)」しか投資できるものがありません。この指数は、日本を除く先進国の国債に連動する指数になっています。日本債券と違い、社債や地方債は一切含まれていません。

国債は、国にお金を貸している借用書のようなもので、定期定期に利息をもらうことができ、最終的にはお金を返してもらうことができます。

そのため、日本国債と同じく元本保証かと思われますが、いくつか注意点があります。

まず、国債は現地の通貨で発行されていることがほとんどです。米国債であればドル、EU諸国であればユーロなどですね。

米国債を100ドル持っていれば、ドルで利息をもらうことができて、いずれは100ドルの元本も返してもらうことができます。ドルで考えれば損することはないですが、私たちは円で生活することになっています。

例えば、1ドル=100円の時に100ドル貸すには、10,000円が必要です。その後返済されるときに1ドル=80円と円高が進んでいたら、返してもらった100ドルは8,000円の価値しかありません。

円高により損してしまう可能性があるということです。逆に言えば、円安が進んでいれば利益を得ることができることになります。

もう一つの注意点は、元本保証はそれぞれの政府が宣言しているだけということです。通常の借金と同じように、踏み倒しされてしまう可能性がないとはいえません。

日本国債の場合は、ほとんど国内の銀行や国民に対しての借金なので、日本銀行が円を刷ってしまえば返済できてしまいます。

ですが、日本以外の国では、外国から借金をしている国も多く、返すことが不可能になってしまったケースがあります。(デフォルトといいます。)

2002年にはアルゼンチンがデフォルトになっていたり、EUにかろうじて残留しているギリシャは恒常的なデフォルト状態です。

通常のお金の貸し借りと同じように、信頼できる相手であれば利息は低く、信頼できない相手の場合は貸し倒れを見越して利息を高く設定しています。

先進国債券では、安定した経済や政治を維持している先進国が相手なので、デフォルトするリスクは低いです。ですが、先進国は経済が停滞していたり、少子高齢化が進んでいることにより、今後デフォルトする国も出てくるだろうと考えられます。

先進国債券は、為替リスクがあること・デフォルトリスクがあることを頭に入れておきましょう。

 

先進国債券の特徴

先進国債券は、実質的に投資先が先進国の国債になるので、信頼性が高い資産です。ですが、現地通貨で投資するので為替リスクが発生する点に注意が必要です。

他の資産と比べた特徴について説明していきます。

 

為替リスクがある

先進国債券は、それぞれ現地通貨でお金を貸していることになるので、しっかり相手が返済してくれたとしても、円高が進んでいたら損する可能性があります。

日本円を除く先進国債券の通貨別内訳です。米ドルとユーロがそれぞれ4割を占めています。米ドルは全て米国債になっています。ユーロはEU諸国の国債です。

ポンドはイギリスの通貨で、英国債になっています。アメリカとヨーロッパだけで全体の9割を占めています。その他にはカナダドルやオーストラリアドルなどがあります。

ドルやユーロが円に対して安くなった場合、円に換算すると目減りすることになります。ですが、長期的には為替リスクは抑えることができるので、長期ではあまり気にする必要はありません。

国債は信頼できる資産で、それぞれ現地通貨で発行されています。日本人が投資すると、自然と自分の資産をドルやユーロなどに分散できていることになります。

ほぼあり得ませんが、万が一日本がハイパーインフレになった場合、日本円で持っている財産はほぼ無価値になってしまいます。ドルやユーロで持っていれば、円の信頼が揺らいだとしても自分の資産を守ることができます。

先進国債券への投資は、リターンを狙うというより自分の預貯金を円以外に分散するという意味合いが強いです。

 

安定した資産

つみたてNISAにおいては、先進国債券=先進国債となっており、発行元は全て政府になっています。企業が発行する社債の場合は、会社の倒産などで踏み倒されてしまう危険性がありますが、国債の場合はよほどのことがなければ貸し倒れはありません。

もっとも国債がデフォルトすること自体は珍しくなく、日本でも戦前は事実上のデフォルトが起きて紙くずになったことはあります。

それを踏まえても、かなり安定した資産であることには変わりありません。先進国債券のうち4割は米国債になっており、アメリカ政府が返済を約束している借用書です。金融の世界では、米国債は絶対に破綻しない安全資産という前提で様々な理論が生み出されています。

全ての金融商品の基本ともいえるのが米国債で、その信用度は世界最強です。EU諸国の国債についても、それに次ぐ信頼があり、全体としては守りの資産といえます。

 

価格変動はそこそこ

 

先進国債券に連動するETFのチャートです。2010年以降のデータのみですが、それなりに上下していることが分かります。

このチャートは、ほとんど円とドルの為替変動や円とユーロの為替変動と同じ動きをしています。つまり、ほとんどが為替変動により動いていることになります。

債券は通常変動リスクが低いといわれていますが、日本債券と先進国債券では全く変動幅が違う点には注意です。

 

インフレに対応できない

債券共通の弱点ですが、債券は一定の元本と利息を約束しているだけなので、インフレが進んだ時に結果損してしまうことが多いです。

日本債券でも説明しましたが、先進国債券でもその国のインフレ率が進んでいった場合、相対的に円高が進んで元本割れする可能性があります。

経済成長を進めるには、緩やかなインフレは必須です。デフレだとお金の価値が下がっていくので、使わないよりもため込んだほうが有利になってしまい、みんながお金を使わず不景気になってしまいます。

各国では、通貨の発行や金利を調整して、緩やかなインフレを目指しています。インフレが進んでモノの値段が上がっても利息は緩やかに上がっていくだけなので、債券には不利になります。

長期投資では、インフレに強い株式やREITを中心に投資をするべきです。日本債券と同様、先進国債券もあまり大きな割合を投資しないほうがいいと思います。

 

リターンは低い

現在の日本国債は、金利がほとんど0%に近く、マイナスになることもあります。そのため、大きなリターンは期待できません。

先進国債券の4割を占めている米国債は、償還期間によりますが1~2%ほどの利息をもらうことができます。普通に考えると、利息が多くもらえる米国債のほうが有利になる気がしますね。

ですが、債券の場合、その国のインフレ率を考えなければなりません。日本ではほとんどインフレが進んでいませんが、アメリカでは年間1%~2%ほど緩やかなインフレが進んでおり、経済成長としては理想的です。

インフレが進んでいくということは、少しずつドルの価値が減っていくということになります。そのインフレを補うのが利息ということにあります。

例えば年間1%ずつ価値が減っていくなら、少なくとも1%以上の利息をもらわないと割に合わないですよね。

つまり、日本国債は利息がほとんどないけど円の価値が減らない、米国債は利息がもらえるけどそれ相応分だけドルの価値が減っていくという予想がされているわけです。

この理論で考えていくと、長期的には債券のリターンはどれも同じくらいになるといわれていて、有力な説になっています。

利息の差はインフレの差で打ち消されるので、日本国債も米国債も期待できるリターンはほとんど変わらないということになります。

債券のリターンは利息で考えることはできないということですね。

 

先進国債券まとめ

先進国債券の特徴をまとめると次の通りです。

 

為替リスクがある
→ドルやユーロなどに分散できる

安定した資産
→特に米国債は最強の信頼性

価格変動はそこそこ
→債券=低リスクではない

インフレに対応できない
→日本だけインフレした時には対策になる

リターンは低い
→利息が高くても期待値は日本債券と同じ

 

先進国債券そのものは、安定した資産だといえます。ですが、現地通貨の為替相場に影響されるため、日本円で考えた場合の変動幅は意外に大きいです。

長期的には各国のインフレ率に応じて利息が変化するので、日本債券と同じ程度の低いリターンしか期待することができません。その一方、為替リスクに大きく左右されます。

先進国債券は、リスクが高い割にリターンが低い、ハイリスクローリターンともいえる資産です。そのため、当サイトではあまり推奨していません。

リターンを狙いたいなら先進国株式でいいし、リスクを抑えたいなら日本債券の割合を増やすべきだと考えています。

将来の資産を増やすための投資というよりは、円だけで持っていることに不安を感じる人がドルやユーロに換えて保管するような意味合いが強いです。

長期で資産を増やしておきたい人にとっては、日本債券と違う動きをする分散効果しか期待できません。リスクを取ることができる人は、先進国債券よりも先進国株式へ投資をするべきです。

当サイトでは、先進国債券はほぼ不要と考えており、保有する場合もごく一部にとどめるべきだと主張します。

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先進国債券インデックス指数