投資先を理解すること

つみたてNISA(積立NISA)では、投資信託を積立していくことで資産運用ができます。

ですが、投資信託とは、自分がお金を預けて運用してもらう仕組みです。そして、運用先で発生した利益や損失を全て引き受けることになります。

運用先は、預かったお金を株式や債券などに分散投資しています。つまり、投資信託を保有するということは、間接的に株式や債券などにまとめて投資していることに等しいことになります。

自分が積立していく投資信託が、実際は何に投資しているかは、必ず把握していなければなりません。投資信託を持っているというイメージではなく、株式や債券に投資しているんだという感覚を常に持っていなければなりません。

ここでは、投資信託を通じて間接的に投資できる日本債券について解説していきます。つみたてNISAでは、日本債券に単独は投資できないので、バランスファンドに組み込まれる形で投資することになります。

 

日本債券とは?

日本債券とは、日本政府が発行する日本国債や、日本企業が発行する社債などがあります。簡単に言うと、借用書のようなもので、決められた日に全額返してもらうことができます。それまでの間は、決められた利息をずっともらうことができます。

日本国債の場合、1年後に返してもらえるものから10年後に返してもらえるものまで、たくさんの国債がソン座しています。社債の場合、企業の数だけ種類があります。

つみたてNISAで投資できるものは全て「NOMIRA-BPI総合」の指数に連動するようになっています。この指数は、内訳の8割が日本国債になっており、残りが社債や地方債になっています。

そのため、日本債券=日本国債と考えてしまっていいでしょう。日本債券は、政府が元本保証しているので、価格変動リスクが極めて低いです。そのため、投資というよりは預貯金に近い性質の資産と考えましょう。

個人で日本国債に投資することもできますが、その場合、2・5・10年の固定金利、10年の変動金利などいくつかの選択肢があります。

固定金利であれば、住宅ローンのように利息が最初に決まってしまうので、今後の金利が上がったときに不利になってしまうし、インフレが発生した時に対応できなくなります。

途中で換金することもできますが、お金を返してもらえる償還日前に売りたい場合、元本割れする可能性もあります。

日本債券の投資信託であれば、種類が違う日本国債をいくつもまとめて保有しているので、買ったタイミングで不利になることはあまりありません。その一方、償還日もバラバラになっているので、安全とは言え元本保証ではない点に注意です。

 

日本債券の特徴

日本債券は、つみたてNISAで投資できる商品ではもっとも価格変動リスクが低く、ほとんど現預金に近い性質を持っています。

そのため、リターンも限定的で、現在は年間の利息が0.05%しかありません。銀行の預金よりはマシですが、ほとんど増えることはありません。

日本債券≒少し利息の高い現預金という気持ちでいたほうがいいでしょう。

他の資産と比べた特徴について説明していきます。

 

為替リスクがない

日本債券は全て円建てで約束されるので、10,000円投資すれば、ほぼ10,000円はそのまま帰ってくるし、利息ももらえます。

株式のように為替相場によって企業の業績が変わっても債券には関係ないので、まったく為替リスクが存在しません。

日本株式は為替によって影響があるので、つみたてNISAで投資できる唯一為替リスクが存在しない資産だといえます。

 

日本政府による保証

日本債券の約8割を占める日本国債は、日本政府にお金を貸しているようなものです。通常お金の貸し借りでは、相手が返してくれないリスクがあります。(デフォルトリスクといいます。)

2割を占める社債などでは一部デフォルトしてしまう可能性がありますが、日本国債ではまず考えられません。

日本には1,000兆円の借金があるので不安に思いますが、デフォルトする可能性は低いです。日本は世界一の借金国ですが、日本一の貸付大国でもあるのです。

日本が外国に貸しているお金は約1,350兆円あり、差し引きでは350兆円の純資産があります。これは、日本が世界一の金持ち国家であることを表しています。

また、日本の借金は、ほとんどが国内の銀行から借りているものです。そのため、日本銀行がお金を刷ってしまえばすぐに返せるお金になっています。

そのため、デフォルトして紙屑になる可能性は限りなく低く、現預金の次に安全な資産といえます。

 

価格変動が極めて少ない

つみたてNISAでは直接投資できませんが、日本債券の指数である「NOMIRA-BPI総合」に連動する投資信託の価格です。2002年から2017年現在までのチャートです。

極めて安定的になっており、リスクは限りなく低いです。ですが、たびたび下落もしています。

日本国債そのものは元本保証ですが、償還日まで持っていた場合に限ります。日本債券ファンドでは、様々な償還日の国債をたくさん持っているので、売るタイミングによっては元本割れする可能性があります。

ですが、その場合も数%程度の話なので、大きく損失を出すことはないでしょう。

債券価格を大きく決めるのは、日本国債の金利です。

例えば、今までは1%で国債を発行していたけどこれからは0.5%になってしまったとします。そうすると、今まで持っていた1%の利息が付く国債はお得ということになります。

金利が下落すると、今までの国債価格は上昇します。ですが、現在は歴史的な低金利が続いており、今後は上昇していく可能性が高いです。

金利が上昇すると、今まで発行されていた国債は魅力がなくなるので、債券価格は下落してしまいます。償還日まで保有していれば元本割れはしませんが、得られる利息が少なくなってしまいます。

日本債券ファンドであれば、あらかじめ複数の時期に発行された国債を保有しているので、このリスクも多少抑えることができます。

 

インフレに対応できない

日本国債はほとんど元本保証なので、マイナスになる可能性は極めて低いです。ですが、損をしないという意味ではありません。

日本ではずっとデフレが続いていたのであまりピンときませんが、通常経済は緩やかなインフレを伴います。

インフレとはインフレーションのことで、物価がだんだん上昇していくことを指します。経済では、物価が上昇して企業の利益が上がり、給料が上がることでモノがよく売れていくという状況が理想的です。

だんだんモノの値段が上がる=現金を持っていると損になるので、みんながお金を使いたくなる状況です。その反対がデフレになり、だんだんモノの値段が下がるので、今買うより後で買おうとなってお金の流れが悪くなり、企業の売上が落ち込んで不景気になります。

債券では、あらかじめ決められた利息しかもらえないので、インフレが進んだ時に、結果損してしまう可能性があります。

例えば10,000円を貸して将来15,000円で返してもらったとしても、物価が2倍になっていたら買えるものは少なくなってしまいます。

敗戦した日本やドイツでは、ハイパーインフレが起きたため、国債は事実上紙屑になってしまいました。今後ハイパーインフレになる可能性は極めて低いですが、インフレによって結果的に損してしまう可能性がある点には注意が必要です。

日本は歴史的な低金利になっており、日本政府が抱えている借金を返すためには、インフレを起こして円の価値を下げていくしかありません。

今後インフレが進んでいくのは容易に予想できるので、国債だから安心という訳ではありません。

だからこそ、インフレに対応できる株式やREITにも投資をしていかなければなりません。

 

信託報酬が割高

日本債券に単独で投資できる商品はつみたてNISAではありませんが、日本債券の比率が高いバランスファンドは複数存在しています。

例として、「DCニッセイワールドセレクトファンド(安定型)」を上げてみます。この投資信託は、日本債券の割合が全体の6割を占めており、安定運用を基本としています。

信託報酬は0.1728%とかなり低コストに思えます。ですが、日本債券に投資して得られるリターンはよくて1~2%程度しかありません。

その中で0.2%近くが手数料で取られるということは、リターンの10%近くを取られてしまうことになります。日本債券の役割はリターンを得ることではないので必要以上に気にする必要はないですが、リターンがあまり期待できない資産であることは注意しましょう。

あくまで日本債券はリスクを抑えるための資産と考えましょう。

 

 

日本債券まとめ

日本債券の特徴をまとめると次の通りです。

 

為替リスクがない
→全て円で保証されている

日本政府による保証
→限りなく現預金に近い安全資産

価格変動が極めて少ない
→ポートフォリオの守りの要

インフレに対応できない
→物価上昇で実質的に損してしまう可能性あり

信託報酬が割高
→リターンは期待できない資産

 

日本債券は、事実上は日本国債に投資する資産になっています。日本国債は、日本政府が元本保証を宣言しており、世界的にみても無リスク資産として有名です。

日本債券に投資する投資信託は時価によって変動するので元本保証ではありませんが、長期的に元本割れする可能性は限りなく低いです。

その一方、リターンはあまり期待できず、ほとんど預貯金と同じものと考えてしまっていいでしょう。

預貯金とほぼ同じということは、インフレによって目減りしてしまうリスクも同じです。日本ではデフレ経済だったのであまり実感はないですが、他国との物価で考えると、日本円は相対的に価値が下がっています。

ドルと円のレートはだいたい1ドル=80円~120円くらいを行ったり来たりしていますが、アメリカではドル安が進んでいるので、相対的に日本人は貧乏になっていることになります。

円という通貨はあくまでモノを買うための道具に過ぎません。円で元本割れしないことよりも、物価が上昇しても将来の買い物に困ることがないように、インフレに強い株式比率を高めるのが長期投資ではセオリーです。

日本債券はあくまで一時的な下落に備えるクッションと考え、過度に投資割合を増やしすぎないように注意しましょう。

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