投資先を理解すること

つみたてNISA(積立NISA)では、投資信託を積立していくことで資産運用ができます。

ですが、投資信託とは、自分がお金を預けて運用してもらう仕組みです。そして、運用先で発生した利益や損失を全て引き受けることになります。

運用先は、預かったお金を株式や債券などに分散投資しています。つまり、投資信託を保有するということは、間接的に株式や債券などにまとめて投資していることに等しいことになります。

自分が積立していく投資信託が、実際は何に投資しているかは、必ず把握していなければなりません。投資信託を持っているというイメージではなく、株式や債券に投資しているんだという感覚を常に持っていなければなりません。

ここでは、投資信託を通じて間接的に投資できる日本株式について解説していきます。

 

日本株式とは?

つみたてNISA(積立NISA)では、投資信託を通じて日本株式に投資できます。

日本株式とは、文字通り日本企業の株式に投資できるものです。

日本の代表的な会社だと、トヨタ自動車、NTTなどがありますね。株式に投資することで、これらの企業のオーナーになることができます。

会社が利益を上げればそれは株式を保有している株主の物になるし、赤字なら株主も損をします。

しかし、個別で株式を買うと、業績の悪化が続けば株価はどんどん下がってしまうし、最悪の場合倒産して紙屑になってしまいます。

つみたてNISAでは、投資信託を通じて多数の株式にまとめて投資できるので、1つ2つの会社が倒産したとしても、全体に対する影響はごくわずかです。

日本全体の景気が良くなればトータルで上がるし、日本全体が衰退していくならトータルで下がるだけです。

最近では東芝や神戸製鋼所の不祥事が相次いでいますが、幅広く分散していれば、影響はごくわずかで済みます。

日本株式では、日経平均株価やTOPIXといったインデックス指数が有名です。これらに連動する投資信託を保有することで、日本企業全体の株式にまとめて投資できてしまいます。

日本には、東証一部と東証二部という上場基準があります。企業が上場するためには、財政がしっかりしているかどうかや、事業に問題がないかなどの審査があります。

東証二部のほうが条件が緩やかなので、基本的には東証二部に上場して、その後東証一部に上場するいう流れが多いようです。

ニュースでも、「一部上場」という言葉はよく聞きますね。大手企業のほとんどは東証一部に上場しているので、日本株式=東証一部上場企業の株と考えてしまってもいいでしょう。

ちなみに東証一部上場企業は約2,000社あって、全体の平均に連動しているのがTOPIX(東証株価指数)になっています。

2017年9月28日現在、上位10社は次の通りです。

会社名 構成比率
トヨタ自動車 3.21%
三菱東京UFJ銀行 2.22%
NTT 1.81%
ソフトバンク 1.69%
三井住友 1.41%
ソニー 1.36%
KDDI(au) 1.19%
ホンダ 1.19%
みずほFG 1.12%
JT(日本たばこ産業) 1.01%

 

日本を代表する企業ばかりです。構成比率は、東証一部全体における割合です。時価総額基準といって、会社の大きさに応じて割合が決められています。

TOPIXを構成する企業上位10社も、当然全く同じになります。

TOPIXに連動する投資信託は多数ありますが、どれか1つを保有するだけで、日本株式2,000社に分散投資していることと同じになります。

ニュースでは、日経平均株価という言葉をよく聞きますが、こちらは東証一部上場企業のうち、選ばれた企業225社の株価の平均になっています。

TOPIXは東証一部上場企業の株式全部、日経平均株価はそのうち225社を抜き出したものと考えておけばいいでしょう。

基本的に分散は広いほどいいので、当サイトではTOPIXに連動する投資信託から選ぶことをオススメします。

 

日本株式の特徴

日本株式の特徴について紹介していきます。

 

為替リスクが少ない

日本株式は、東京証券株式市場に上場しているので、売買される単位は当然「円」です。

円で取引されるので、外国の株式に比べて為替リスクがないといわれています。外国の株式は、ドルやユーロなどで買ったりするので、為替相場に応じて株価が下がってしまいます。

ドルで買った外国の株が値上がりしても、円高が進んでしまえば、結果マイナスなんてこともありますからね。

為替リスクを避けるために、日本株式に多く投資している人も多いです。

日本株式なら円で取引されるから、為替リスクはないという意見が多いですが、これは半分間違っています。なぜなら、為替リスクは日本株式でも関係あるからです。

例えばトヨタ自動車は、2009年に59年ぶりとなる赤字を計上しました。これはリーマンショックの影響もありますが、急激な円高が大きく関係しています。

2008年初めには、1ドル=100円ほどでしたが、年度末には1ドル=80円近くまで円高が進みました。

円高が進むと、トヨタ自動車のような輸出企業は、海外で値段が高くなってしまうので、売り上げが落ちてしまいます。

また、トヨタ自動車は多くの工場を米国に持っているし、自動車の売上先も米国がダントツで多いです。そのため、決済手段のために大量のドルを持っています。円高になると、ドルの価値は下がって見えるので、トヨタ自動車に投資している日本人は損することになります。

トヨタ自動車が米国に持っている工場やドル預金も、全て株主のものです。日本人の株主にとっては、円高が進むことで間接的に株式の価値が減ってしまうことになります。

日本株式自体は円で取引されているけど、為替の変動によって企業の業績に大きな影響が出るし、企業が持っている外貨の価値も変動してしまうことになります。

株式を保有することで、会社の利益や資産の一部が自分の物になります。日本株式自体は円で取引されますが、会社が円以外の通貨で商売をしていることで、為替リスクは必ず発生します。

日本企業でも、日本国内だけで商売をしている企業と、世界中で商売をしている企業では、背負っている為替リスクも大きく変わっていきます。

もちろん外国の株式に比べれば、為替リスクが低いのはもちろんですが、日本株式なら為替リスクを無視できるという訳ではないことに注意してください。

裏を返せば、為替リスクが怖いから外国株式への投資を減らすというのももったいないということになります。株式をどの通貨で取引しているかではなく、その企業がどの通貨を使っているかで考えましょう。

 

情報が入手しやすい

日本企業の情報であれば、毎日ニュースや新聞で発表されています。個別で売買をする人であれば、企業の決算や不祥事などをしっかりチェックしないといけませんからね。

ですが、つみたてNISA(積立NISA)では、基本的に同じ商品を20年間積立していくだけです。情報が入手しやすいというメリットは、つみたてNISAでは一切生かすことができません。

基本的にはインデックス投資を行うことになるので、いくら情報があっても、売買する必要はないからです。自分たちはもちろん、投資信託を運用している人たちも基本的には同じです。

TOPIXは現在2,000社の株式が採用されていますが、頻繁に入れ替わるものではなく、会社の倒産や、企業合併などがなければ基本的に売買をすることはありません。最初から全ての銘柄に投資しているので、企業ごとの情報は一切関係ありません。

株式投資というと、常に情報を確認して、パソコンとにらめっこというイメージがありますが、つみたてNISAでは全く関係ありません。

毎日の情報に踊らされず、ひたすら分散・積立を実行するだけです。必死にプロが分析して投資を行っているアクティブ型投資信託が市場平均に勝てないことを考えれば、たったこれだけで多くの個人投資家にも勝てることになります。

自分で判断してしまうと、安い時に売って、高い時に買ってしまうという失敗をしがちなので、淡々と積立をしていくことは非常に理にかなっています。

投資の世界では、努力と成績が一致しません。とはいえ、株価が暴落してみんなが投げ売りしているときに、自分だけ積立を続けるという忍耐力が必要です。

そのため、悪いニュースが発生した時は、あえて距離を置いたりすることも大切です。

したがって、日本株式の情報が入手しやすいメリットは、つみたてNISAでは一切関係ないどころか、デメリットにすらなりかねません。

 

日本経済に不安材料が多い

日本では失われた20年といわれ、経済が停滞していた時期がありました。最近ではアベノミクスなどによる景気回復もありましたが、多くの人は実感できていないようです。

日本の株式市場は、世界で見ても大きく停滞しています。

青い線が世界全体の平均、ピンクの線がTOPIXになっています。ここ10年間で見ると、世界全体の平均を大きく下回っています。

日本株式は、世界全体の成績ではかなり下だったことになります。また、全体的に変動幅も大きいです。

過去10年間だけで考えれば、日本株式はリターンも悪く、リスクも大きかったことになります。もちろん今後の成績は予想できませんが、日本株式だけへの投資が危険な理由の1つです。

日本は今まで世界トップクラスの製造業で世界経済をリードしてきましたが、最近では陰りも見えています。携帯産業では、アメリカのアップルや韓国のサムスン電子に大きく後れを取っています。

東芝や神戸製鋼所の不祥事も相次いでおり、日本企業全体の信用低下も進んでいます。

最近は変わりつつありますが、終身雇用制度が根付いているのも、株式投資としてはマイナスです。従業員としては、同じ会社で働き続けることができて素晴らしいですが、会社にとっては、事業を縮小したくともリストラができないので、保守的な経営にならざるを得ません。

余計な人件費が会社の利益を圧迫し、株主のリターンを減らすことになります。

少子高齢化が進んでおり、労働者や消費者が減っていることも大きなマイナスです。日本だけには限りませんが、米国を除く多くの先進国でも問題になっています。

世界の株式市場のうち、日本が占める割合は10%程度しかなく、今後も減少していくことが予想されます。

投資家の多くは、「ホームカントリーバイアス」といって、自分の国への投資割合を多くしてしまう傾向があります。

金融大国のアメリカでも、多くの国民が自国の株式のみに投資をしています。ですが、自国への投資割合を増やしすぎるのはあまり良くありません。

日本株式への投資割合を増やしすぎると、日本経済が悪化した時に大きなダメージを受けます。会社員の人であれば、給料が減ってしまうかもしれません。

給料が日本の景気に影響されてしまうなら、せめて投資先はあまり影響がないようにしたいですよね。また、私たちが将来受け取る公的に年金も、多くが日本株式で運用されています。

このような事実を考えると、ますます日本株式への投資割合を増やすのは好ましくありません。

 

日本株式まとめ

日本株式の特徴をまとめると、次の通りです。

 

為替リスクが少ない
→日本株だから全くないわけではない

情報が入手しやすい
→つみたてNISAではメリットなし

過去の成績が悪い
→日本経済そのものに問題アリ

給料や年金は円で支給
→既に日本経済のリスクを背負っている

 

日本株式は、為替リスクが少ないというメリットがありますが、それ以外では大きな問題を抱えています。通常先進国の株式は、経済情勢が安定しているので、株価変動も緩やかになります。ですが日本市場では、新興国並みに変動する場面が多く、決して安定している市場ではありません。

株価の上昇率は低いけど変動幅は大きいので、短期で売買する格好の場として利用されているのが現状です。正直なところ、安心して長期保有できる要素は少ないです。

世界全体のうち、日本株式は10%ほどしかないので、日本株式にばかり投資をすると、日本経済が衰退していったときに、将来の財産を大きく失うことになります。

私たちの給料が円であることや、公的年金が日本株式を中心に運用されていることを考えれば、日本株式には一切投資しないということも十分考えられます。

投資をする場合も、時価総額に合わせて全体の10%程度、多くても30%程度までに抑えたほうがいいと思います。

つみたてNISA(積立NISA)で採用されている投資信託の多くが日本株式の割合が非常に高いので、選ぶ際は注意していきましょう。

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日本株式インデックス指数