つみたてNISA(積立NISA)では、最初に2択の大きな決断をする必要があり、それぞれメリットデメリットがあります。
①投資信託を1つだけ積立する
メリット…ただ積立するだけなので、20年間手間いらず。
デメリット…細かく投資内容を選べない。信託報酬は少し高め。
②複数の投資信託を組み合わせて積立する
メリット…自分好みに投資することができる。信託報酬が安く済む。
デメリット…定期的なリバランスが必要。
つみたてNISAを始めるのであれば、必然的にどちらかに分類されてしまいます。
初心者であれば、手間暇のかからない①から始めるのが分かりやすいと思います。
①の方法ならただ積立をしていくだけなので、やっていることは積立預金とソックリです。
引き落とされたお金が積立預金通帳に入金されるか、証券口座で投資信託の買付資金になるかの違いだけです。
20年間積立続けるだけでいいので、ほったらかし投資が可能になります。
また、①→②への移行は比較的簡単ですが逆は面倒なので、迷うのであればやはり①から始めたほうが無難かもしれません。
そして①を実行するためには、複数の資産にまとめて投資できる投資信託を選ばなければなりません。
①のように1つだけで問題ない投資信託は、バランスファンドと呼ばれます。
イメージではこのようなものです。1つの投資信託の中で、運用会社が代わりに分散投資を行ってくれます。
自分で分散するのが②、運用先に任せてしまうのが①ということですね。
ですが任せるといっても全ておまかせするのではなく、一定のルールがあります。
例えば株式と債券の割合は半分ずつを維持するとか、日本への投資は全体の30%にするとかです。
あらかじめ決まったルールに基づき運用してもらうのがバランスファンドともいえます。
ここでは、投資信託1本だけで十分な分散投資が可能な投資信託を紹介していきます。
株式だけに投資したい場合
つみたてNISAでは20年間という期間が一区切りになっています。実際はさらに長いほうがより安心ですが、20年間でも十分長期投資だといえます。
株式と債券を比較すると、通常は株式のほうがハイリスクハイリターンだと思われています。ですが、長い期間で見ると、債券より株式のほうが元本割れするリスクは小さくなるといわれています。
つまり、下落を気にせず20年間積立できるなら、投資先は株式のみという選択肢も考えられます。
投資期間を長くとることができて、下落しても気にしないで積立できる自信があるのならば、株式型の投資信託が検討できます。
そこでオススメなのが次の商品です。
ファンド名 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.15336% |
この投資信託は、世界中の株式にまとめて投資できる商品です。
現在の割合はこのようになっています。この割合は時価総額基準といって、株式市場の大きさをそのまま反映しています。
インデックス投資は、全体に丸ごと投資することで平均の成績を得ようとする投資法です。であれば、世界全体に丸ごと投資してしまうのが一番簡単で理想的です。
この投資信託は、世界中の株式投資家の平均点を常に取ることができます。
株式だけなので厳密にはバランスファンドではありませんが、単体でも長期投資に耐えうるという意味では理想的な選択ともいえるでしょう。
日本株式と新興国株に多く投資したい場合
株式に多く投資したいけど先進国ばかりでは嫌だという方は、次の商品をオススメします。
ファンド名 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) | 0.15336% |
株式のみに特化した珍しいバランスファンドです。
日本・先進国・新興国の株式にちょうど3分の1ずつ投資しています。
時価総額基準の場合、日本と新興国の割合は約10%ずつとかなり少なくなってしまうので、コチラのほうが納得できる人も多いのではないでしょうか?
現在では先進国の大半を占める米国市場が割高であるという意見も多いので、割安な日本株や新興国株に多く投資できる点が魅力的です。
新興国に多く投資したい場合
さらに新興国を重視して投資したい場合、次の商品をオススメします。
ファンド名 | 信託報酬 |
SMT 世界経済インデックス・オープン(株式シフト型) | 0.594% |
株式重視のバランスファンドで、内訳は次の通りです。
出典「三井住友アセットマネジメント」
株式が全体の75%で、残りは全て債券です。地域ごとの割合はGDPを基準に決めています。新興国は、株式市場としてはあまり大きくありませんが、経済力を表すGDP(国内総生産)では、世界の半分近くを占めています。
この商品なら、新興国の比率がかなり高めになっているので、大きなリターンを狙うことができます。
その分下落幅も非常に大きいので、投資期間を長くとれない場合はオススメできません。
債券にもバランスよく投資したいとき
債券にもしっかり投資したい場合は、次の商品がオススメです。
ファンド名 | 信託報酬 |
楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型) | 0.2546% |
株式と債券に半分ずつ投資する商品です。
株式と債券の割合はちょうど半分ずつです。時価総額で割合は決められており、全体として先進国の割合が多くなっています。
競合商品と比較すると、債券部分に為替ヘッジがついているのが大きな特徴です。
外国債券の比率が高いバランスファンドとしては、信託報酬0.2456%は驚異的な低さです。
株式比率の高い株式重視型、債券比率の高い債券重視型という姉妹商品もありますので、要チェックです。
楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型・均等型・債券重視型)
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安定運用をしたいとき
投資では、自分が許容できるまでリスクを下げていくのが非常に大事です。下落している時でも積立を続けるというのは、想像以上に苦しい作業です。
そのため、リターンよりもリスクを抑えることに重点を置きたい場合は、次の商品がオススメです。
ファンド名 | 信託報酬 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型) | 0.17172% |
4資産均等バランス型と呼ばれる資産配分になっています。
このように4つの資産を均等に保有する商品です。4分の1が日本債券なので、他の商品に比べて下落リスクは低いです。
また、日本株式も多めになっているので、為替リスクも少なめです。
少し日本国内への投資割合が高めですが、その分安定性も高めになっています。下落リスクを抑えて投資していきたい人にオススメです。
いろんな資産に投資したい場合
せっかく投資するなら、いろんな資産に投資してみたいという人も多いと思います。そんな人にオススメなのが次の商品です。
ファンド名 | 信託報酬 |
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.17172% |
8資産均等バランス型と呼ばれる資産配分になっています。
このように8つの資産を均等に保有する商品です。全体の4分の1が新興国を占めているので、リスクは高めです。
1つ上で紹介した4資産均等型とは少しタイプが違う商品です。こちらは、8つの資産にまんべんなく投資することにより、積極的にリターンを狙っていくものです。
比率がずれてくれば自動的にリバランスで調整されるので、それぞれが別々に動くたびに、高くなったものを売って安くなったものを買うという作業が行われます。
1つの投資信託を保有するだけで8つの資産に投資できるという意味では、バランスファンドの特徴を最大限に生かしている商品です。
単純明快で分かりやすい比率なので、まんべんなく分散投資したい人にオススメです。
バランス型オススメまとめ
ここで紹介した商品は、いずれも単体で積立ができるようなものばかりです。たった1つの商品だけに投資するのは危険な気もしますが、バランスファンドであれば問題ありません。
投資信託を通じて複数の資産に分散投資してくれるので、持っている商品は1つだけなのに分散しているというお手軽商品です。
管理する商品は1つだけなので、リバランスなどの手間も一切ありません。自分が納得できる商品を見つけることができたら、それを20年間ひたすら積立するだけでOKです。
知らずに引き落としで積立されたお金が、将来は大きく成長しているかもしれません。
バランスファンドを利用すれば、貯金と投資の壁はなくなります。積立預金の感覚で投資できてしまうのが、バランスファンド最大の魅力です。
参考記事…バランスファンド比較